キャリアの成功を左右するのは「ストーリー力」である2

前回のエントリーで、自分自身の魅力的なストーリーを語れることが、キャリアを成功させるうえでも非常に重要だと述べた。

 

しかし、自分のストーリーといっても、少なくともいままでのストーリーは自分の歴史である。歴史はすでに起こってしまったことなので変えられない。だから、つまらない人生を送ってきた自分は、もうその時点で魅力的なストーリーを作れない負け組ではないのかという疑問をもつ人もいるだろう。

 

歴史は過去の事実だから変えられない。だから、ストーリーを語る上で嘘をつくことができない。確かにこのロジックは正当に思える。しかし、ストーリー(物語)は、事実ではないことに注目する必要がある。ストーリーは「意味付け」である。

 

これまでの人生といったって、多くの人にとっては、相互に関連しない、雑駁とした出来事の積み重ねでしかないだろう。ストーリーとは、そんな雑駁な事実をつなぎあわせて、そこに「因果関係」を見出す営みである。

 

大事なことは、この世の中に、「意味」も「因果関係」もないということだ。意味は、人間が作り出すものである。因果関係は、人間が考えるロジックである。これまで生きてきた中で自分の周りで無数に生起してきた雑駁な出来事(事実)、これ自体に意味も因果関係もないが、それらから適宜、取捨選択し、それらをつなぎあわせ、「意味のある」「因果関係」を作り出す。これが、「編集力」であり「ストーリー力」である。

 

つまり、ストーリーの構築にもちいる事実は、「恣意的」に取捨選択されたものなのである。だから、自分の歴史とかストーリーとかいっても、それは唯一絶対のものが存在するのではなく、想像力を働かせればいくらでも作ることができるものなのである。

 

だから、すでに過ぎてしまった事実は変えられない、嘘をついたストーリーは作れない、というのは、半分間違っているといえる。

 

まさに、想像力・創造力を高め、センスを磨けば、すでに過ぎてしまった過去の出来事を巧妙につなぎあわせることによって、自分自身の魅力的なストーリーを描き、語ることができるのである。

 

そして、未来については、もっと自由度が高い。フリーハンドに近いかたちでストーリーを描くことができるし、それは単なる夢物語ではなく、そのストーリーが現実になるという可能性も十分にあるのである。