セブンイレブンのイノベーション力

雑感だが、コンビニはいろいろあれど、イノベーション力という面では、セブンイレブンが突出していると感じる。

 

セブンイレブン以外のコンビニから、画期的なイノベーションが生み出されたという事例をあまり知らない。たいていは、セブンイレブンイノベーションを起こし、他のコンビニがそれに追随するという構図でコンビニ業界が発展してきていると思う。

 

そもそも、コンビニエンスストアという業態を確立したのも、セブンイレブンが最初である。

 

当時のコンビニエンスストアのイメージは、文房具とかインスタント食品とか、夜間に困ったときにでも空いていてすぐに買える店、ついでに雑誌が置いてある店というものだった。いってみれば、文房具屋と酒屋がくっついて、かつ深夜営業が加わった=便利な店。というイメージだ。あとは、それに加えて宅配便を出せる店といった感じだろうか。

 

そこから、まず、おにぎりや弁当を主力商品に仕立ててきたのもセブンイレブンだ。これは大きなイノベーションだ。店舗数を増やしながら、「ほかほか弁当」のような業態に真っ向から勝負を挑んだわけだ。

 

弁当を主力商品にするということは、ほかほか弁当に勝るとも劣らない質を確保しないといけないことだから、そう簡単ではない。

 

セブンイレブンに、ローソンやファミリーマートなどが追随し、コンビニは全国に拡大した。あちこちにコンビニが出現し、国内ではすでに成熟期に入ったかに思えたのだが、ここからのセブンイレブンの進化ぶりには目を見張るものがある。

 

あれだけ限られた店舗スペースで、これ以上、どんな新たな商品を置けばよいのかと問い詰めたくなるような状況で、次から次へと新機軸を打ち出していく。そのたびに、他業態に勝負を挑んで、お客さんを奪っていく。

 

例えば、コンビニATMだ。これは、銀行の店舗やATMとった他業種に真っ向から勝負をいどんだイノベーションだ。そしていまや、私などは銀行の店舗に足を運ぶことは1年のうち1度あるかないかくらいだし、銀行のATMでさえほとんど使わない。出金はコンビニですませている。

 

ドトールマクドナルドなど、安くてそこそこのコーヒーを出す飲食チェーンに真っ向から勝負を挑んだセブンカフェも恐るべきイノベーションだ。これによって、私などは、以前は、自販機で缶コーヒーを買うことさえほとんどなかったのに、コンビニでコーヒーを買う頻度が確実に高まった。

 

そして、ミスタードーナツに真っ向から勝負を挑んだドーナツ販売。その影響かどうかは知らないが、私の住んでいるところに近いミスタードーナツ2店舗が撤退してしまった。

 

これら以外にも、おでんやらからあげやらアイスクリームやら、セブンイレブンが仕掛けたイノベーションは枚挙にいとまがない。

 

ローソンやファミリーマート、その他のコンビニも、業績はそこそこ良いだろうが、これはセブンイレブンが生み出したイノベーションからの恩恵をあやかっているにすぎないだろう。つまり、セブンイレブンイノベーションのフォロワーとして、セブンの生み出したサービスと同じものか、それを改良したものを投入しているにすぎないと思われる。弁当しかり、ATMしかり、カフェ・ドーナツしかりである。