21世紀型ビジネスの特徴と問題点2

前回のつづき。21世紀型ビジネスの問題点として、それは、まず、悪意の参加者や犯罪者が混ざってきたときに排除しにくいというリスクや、過失などによる事故や被害にかんする安全面でのリスクがあることを述べた。

 

それがなぜかというと、20世紀型のビジネスが、安全と秩序を重視し、高品質な製品やサービスを消費者に提供するために、監視とコントロールを重視したからだ。監視とコントロールを強化するからこそ、資源の無駄が生じてしまう。

 

例えば、製品やサービスを精査するために時間と労力を使う。少しでもリスクがありそうな要素があれば、製品を廃棄する。監視やコントロールができなくなりそうな資源は用いないし、きちんとした時間をきめて仕事をするので、状況に応じて対応するといった柔軟性がなくなる。

 

ということで、結局は資源の無駄使いや、遊休資産の増加などがでてきてしまうわけだ。

 

21世紀型ビジネスというのはむしろそういった20世紀型ビジネスの問題点を克服する方向で発展しているから、資源の無駄遣いを省き、極力シェア・コラボをし、時間や資源を柔軟に活用しようとする。それを可能にするのが、情報革命によって生まれたネットの世界ということだ。

 

つまり、秩序・安全の維持のための監視・コントロールと、資源の有効活用・サステナビリティを高めるための参加型・シェア・コラボといった活動とにトレードオフが存在するということなのだ。

 

それが原因で、現在発展しつつある21世紀型ビジネスの脆弱性がネックになっているのだ。シェア・コラボ・柔軟性を高めるために、管理・コントロールをある程度犠牲にせざるを得ないのが現状なのだ。管理・コントロールを行うためには権力を集中させ、社会や組織を階層化させ、ある程度クローズドなシステムを通じて中央集権的にコントロールを行う必要があるが、シェア・コラボ・柔軟性を追求するならば、社会や組織をフラットにし、権力が分散され、システムがオープンでだれもが参加できるシステムにしていく必要があるのだ。

 

これまで見てきた通り、現在の状態は、20世紀型ビジネスと21世紀型ビジネスとの間にトレードオフとかジレンマが存在することが問題であるから、今後の21世紀型ビジネスに求められるのは、このようなトレードオフやジレンマをどのように乗り越えるのか、すなわち、弁証法的にいえば、いかにして止揚し、もう一段、バージョンアップされたビジネスに進化していくのかというところがポイントなのである。