コンビニエンスストアが世の中に登場して以来、コンビニ店舗の数は増えつづけ、もはやコンビニが無ければ社会が成り立たないくらいの存在感を確立した。
コンビニ店舗は無限に増え続けるわけにはいかない。なぜならば、人口が限られているからだ。日本の人口は減少しているわけだから、無理に店舗数の拡大を続けることは明らかに人口動態と矛盾する。
これまで、コンビニはセブンイレブンに牽引される形で進化を続けてきた。20年前のコンビニと今のコンビニを比べてみれば、その変容ぶりに驚くことであろう。今のコンビニには、ATMがあり、プライベートブランド商品があり、カフェがある。フライドポテトやフランクフルトがあり、近所のスーパーよりも安い商品もある。
そして、進化し続けることを止めないコンビニは、ついにイノベーションの第二幕を迎えることになった。その内容を解説しよう。
発祥当時からのコンビニの顧客のイメージは、都会に住むどちらかというと夜型の若者である。都会で忙しい生活をしている若者が便利さを求めてコンビニに駆け込んだり、たむろしたりするというイメージだ。
しかし、今、コンビニが担おうとしているのは、都会への若者流出や少子高齢化でダメージを受け、過疎化が進んだ地方社会である。
むかしは、地方においても、歩いていけるようなところに商店街があった。そこには、八百屋、肉屋、魚屋、金物屋、雑貨屋、本屋などがひしめき、商店街内で必要な買い物を済ますことができた。ところが、モータリゼーションが進み、郊外のロードサイドに大型のスーパーやショッピングモールが建設されるようになり、多くの人々が車にのってイオンやヨーカドーなどに買い物に行くようになった。その結果、地方の商店街はシャッター街と化し、八百屋も肉屋も雑貨屋も廃業してしまった。
ところが、である。高齢化がますます進むならば、高齢者が車を運転して郊外のショッピングセンターに行くことが困難になってくる。望むらくは、昔のように歩いていける商店街の復活なのである。しかし、昔のような商店街が復活することは考えにくい。
そこで、コンビニの出番なのである。それも、従来型の、都会の若者が顧客というイメージのコンビニではなく、地方の中高年の人たちのためのコンビニなのである。そのようなコンビニは、まさに、昔の八百屋や肉屋、魚屋、雑貨屋が1店舗に収まったようなお店なのである。
実際、セブンイレブンをはじめとするコンビニが、最新の店舗を大型化し、休憩スペースや生鮮食品などのスペースを増やしているのもその理由だと思われるのである。
都会の若者が夜におでんとかカップ麺を買いに行くようなコンビニではなく、都会のビジネスパーソンがランチの弁当を買いに行くようなコンビニではなく、地方のおじちゃん、おばちゃんが今晩のご飯の食材をちょっと買いにいくようなコンビニなのである。