貯金と投資の違いについて

キャリアを考える上でも、貯金と投資の違いを理解しておくのが重要だろう。

 

一言で言えば、貯金と投資は、概念としてまったく違う。ここでいう貯金は、「タンス預金」のようなものを想像してもらいたい。仮に、銀行に預金したり定期預金を作っても、考え方として「タンス預金」の延長だという考えであれば、これらはすべて「貯金」として考える。

 

一方、投資というのは、株式投資などの金融資産に投資することや、自己投資といったように、学校にいってスキルを磨くようなことも含まれるが、議論をわかりやすくするために、株式投資のようなものをイメージしてもらおう。

 

直感的にいったら、貯金と投資の違いは、手持ちのお金を、タンスにしまっておくか、株券をかってしまっておくかの違いで、前者のほうが安全で、後者は博打のようなものだと考えるかもしれない。とくに古い人はそうだろう。そして、さらに古い考え方だと、真面目に働きもせず、株をやって儲けようなんてもってのほか、と考える人もいるだろう。

 

しかし、上記のような考えに、大きな誤りが含まれているのである。「真面目に働きもせず」という部分は置いておいて、「株で儲けよう」とするのが邪悪のような考えかたは、キャリア、ビジネス、人生設計を考える上でマイナスだ。

 

株式投資というのはどういうことかというと、ビジネスの世界で、自分が正しいと思う取り組みのオーナーになるということなのである。例えば、社会の役に立つビジネスを展開している組織があるとするならば、そこに手持ちの資金を投入し、オーナーもしくはスポンサーになるということなのである。

 

つまり、世の中のことを勉強し、自分のあたまで世の中のことを考え、その結果として、自分が信じる正しい行為をする主体に対して、自分の資金を投入する。そうすることによって、「間接的に」その事業に取り組むことになるのである。間接的というのは、実際に運営するのは、株主から委託された執行役員つまり経営者だからである。

 

だから、投資は、微力ながら、社会のことを考え、社会に貢献しようとする主体的な行為であり、たんなる博打ではないことに注意されたい。もちろん、博打のように考えている人がいるかもしれないが。

 

ここまで読めばおわかりのように、タンスにお金をしまっておくという行為に、上記にあげた投資の発想はない。ただ、お金を置いておくということで、これは、お金を社会のために活用していないことに等しい。今の世の中は、資本主義でまわっている。つまり、世の中を動かしていくのに、お金が必要不可欠なのだ。そのお金を国民がみなタンスにしまっておくだけでは、あるいはそこまで極端でなくても、無関心に金融機関の預金口座に入れておくだけでは、社会はよくなっていかないだろう。