紅白歌合戦でメドレー曲が多い意味

近年の紅白歌合戦を見ると、実績のある歌手による代表曲のメドレーが目立つようになってきた。これは、今という時代の特徴を反映している。

 

新しいものを作っては消費することで成長しようとする時代が終焉を迎えつつあるということだ。言い換えるならば、昔のようには成長しなくなってしまったということである。

 

もう一つは、これまでの成長の軌跡として蓄積してきたものが、デジタル社会の到来でアクセスしやすくなった時代であるということである。

 

であるから、もうこれ以上、次から次へと何かをつくって消費するような資源を費消してしまうやり方をせず、昔のものをうまくリサイクル、リユースしてやっていこうとうい時代になったということである。

 

なので、昔のものをうまく掘り出して、少しアレンジして再利用するという方法が普及しつつあるのだ。紅白歌合戦のような歌番組のみならず、いろいろなところでそれが起こっているということだ。

 

音楽に関していえば、街中で30年も昔のロックミュージックやポップスが流れていても違和感なく街に溶け込んでいくことがわかる。つまり、デジタル化で時代は大きく変わったというけれど、それ以外のところではそれほど変わっていないから、今の人でも30年前の曲を難なく受容できるというわけだ。

 

デジタル化の恩恵は、過去のものを簡単に取り出すことができることだ。インターネットで過去の情報をすぐに検索して参照できる。ユーチューブで過去の映像を簡単に視聴できたりする。だから、今の時代、完全に何か新しいものを生み出すのではなく、簡単に利用可能な過去のものをうまく縫い合わせて(パッチワークして)、それでもって新しい価値を提供するということが当たり前の世の中になっているのである。